仲さんはジーンズをリメイクしてバッグを作られたり、お客様のジーンズに手描きの絵を描いたりされていますよね。どうしてこのようなことをはじめようと思われたのでしょうか。
もともとは父の代からバッグの加工請負業をしていて、私自身もかばん作り30年の職人になります。
順調に売上は上がっていたのですが、取引先の海外生産の比率がだんだんと上がってきたことで、下請けの加工業ではやっていけなくなりました。13名いた従業員も4名まで減りました。
毎年赤字で、先の見えない苦しい時期が続いていたときに、お客様から1点ものを作ってくれないかというご依頼を受けました。そこでお客様だけの1点ものとしてリメイクのものを作らせていただいたときに、本当に感謝していただいてお手紙までいただきました。それを見たときに思わず涙ぐんでしまったほど嬉しかったんですね。
今まで加工業としてひとつのバッグを作って500円前後という金額で受けていました。当然それでも高いとメーカーさんからは言われてきました。それが1点ものとして3万円もするバッグを購入していただいて感謝までされました。
何とも不思議な体験であると同時に、この会社を救えるのはこれだと感じました。それから本格的にリメイクを扱う工場として、「リメイクファクトリー一の井」をスタートしました。
まさに会社を再建されたんですね。今では加工請負業から完全に脱却されて、「リメイクファクトリー一の井」一本でやられているということも聞きました。ではこのリメイクの魅力について教えて下さい。
このリメイクの魅力は、古くなったものに新しい命を吹き込めるというところですね。
一の井のジーンズは、全て某大手メーカーのある型番の古着ジーンズを使用しています。かばんにするときに独特の風合いや素材の柔らかさが出るのがこの型番だったんです。
ジーンズの中でも薄いものと濃いものがありますので、それを張り合わせることで世界に一点しかないリメイクバッグが出来上がります。
私もかつての加工請負業のようにいくつも同じ型のバッグを作るのではなく、一つ一つが手作りで世界でひとつしかないものですので作っていて大変楽しいですね。何よりお客様に直接喜んでもらえるのが、言葉に変えられない喜びです。
また手描きの作品に関しても、どこに何を配置するかを全て私たちがお客様とお話して一緒に作品を創り上げていきますので、いつも出来上がった作品を受け取られたあと、感謝のお手紙やメールをいただくんです。そのときには「リメイクに出会えて本当に良かった。この幸運に感謝してもっともっといい商品を届けたい」と意欲が一段と沸いてきますね。
仲氏の暖かいお人柄と作品作りに対する愛着とこだわりが伝わってきました。
本当にやりがいのある仕事をしている人は目が輝いていますね。 リメイクジーンズPD仲氏の今後の展望を教えて下さい。
先行きが全く見えなかった会社を救ってくれたリメイクには特別の思いを感じています。
自分が着なくなった大切な服や形見などをバッグに仕立て直したりすることは、 エコロジーの観点から見ても、現代にまさに求められているものではないかと思います。
今後もお客様あってこそのリメイクですから、お客様の願いをいつも叶えられる会社でありたいと思いますね。
喜びがこんなに近くで感じられるリメイクファクトリー一の井をずっと続けられればこれ以上の幸せはありません。
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